※ 題名を読んでしんどくなるかもしれないなと少しでも感じられた方は、またいつか、読んでいただければ嬉しいです。
私の家には4匹のペットがいます。
チワワの姉弟とスコティッシュフォールドとアメリカンショートヘアの、犬2匹と猫2匹。
チワワの姉弟は15歳なので、もうおばあちゃんとおじいちゃんで、目も悪くなっていて耳も遠いのですが、なんとか元気にやっております。
8歳のスコティッシュの猫も、尿結石ができやすいという点はありつつも元気にやっております。
今回は家にお迎えしてから2年の1番若い猫、アメリカンショートヘアのルイくんが病気になったお話です。
12月の中ごろから少し食欲がない日があるなとは思いつつ、食べて遊んでいたずらして、いつもと同じような毎日を過ごしていたルイくんなのですが、年末のお休みに入ってからご飯を食べなくなってしまいました。
年末年始のお休み中にヤキモキしながら病院を探して、新年早々病院に駆け込んで、そのまま酸素ルームをレンタルし家で投薬治療をはじめることになりました。
先生の診断は『猫コロナ 猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)』、通称FIP。
このFIP、近年人間の間で騒がれている新型コロナウイルスとは違い、人間にはうつらないものの、猫にとってはかなり致命的な病気なんだそうです。
受診した時点でのルイくんの状態は、ウェットタイプ(滲出型)とドライタイプ(非進出型)混合型の末期でした。
体中に水が溜まっており、貧血で酸欠で呼吸困難の症状もでてきていました。
愛猫が苦しそうにしているのを見るのはとてもとても辛いですが、それでもなぜか、こういう時ほど冷静に動けたりする私がいます。
できることを、やるべきことを、淡々と。
我が家の2025年の幕開けは、リビングに酸素吸入機の音が響き渡り、愛猫に朝昼晩と投薬をしながら、ご飯もシリンジであげる作業と共にありました。
猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の薬として多く使われている薬はとても高価なのですが、数年前まではその薬を使うかもしくは投薬なしで静かにお空に帰るのを待つかというような状況だったようです。
ただ、近年の新型コロナウイルス(人間の方)の薬として新しく出てきた、モルヌピナビル(ゲラブリオ)が、なんとかどうにか手の届く範囲の金額で、猫のFIPに効果がある場合があるとのことで、日本では猫への使用は認可されていないながらも、運良くFIPをかなりの件数扱っていらっしゃる先生の下、投薬を開始することになりました。
愛猫がFIPと診断されてからは、ネットで調べまくりながら、猫にとって致命的な病気でも、昔と比べて今は治療法があるのだとそして完治している猫も多数いると、そんな記事を見つけては希望を抱く私と、それでも何処か心の隅で覚悟を決めてる私がいました。
投薬開始6日目には、酸素室から出たいと訴えくることが増えてきて、長い間酸素室からでてたり、8歳の猫がおもちゃで遊んでいるのを酸素室から見て、手を出したりジャンプしようとしたりもしてました。
投薬開始7日目の夕方は、今まで食べなかったのが嘘のようにバクバクと、チュールを3本に、少しずつお皿に入れたカリカリも2回おかわりしました。
ご飯を食べてくれたと、下痢ではないうんちをしてくれたと、これで一安心だとも思いました。
8日目は食欲はまた無くなってしまったものの、大好きなダンボールの中で、これまた大好きなフカフカのクッションの上にのって毛布をかけて満足そうに寝てたりもしました。
でもやっぱり時々痙攣を起こしたり、しんどそうに蹲ったりして、まだまだ闘病生活は長いんだなと思っていました。
次の日の朝、成人の日。
寝室で私と子供達は寝ていたのですが、普段もの静かな夫がものすごい音を立てながら寝室に駆け込んできて私に叫びました。
『ルイくんが死にそう!!!!』
私は娘たちの名前を大声で呼んで起こしながらすぐにルイくんのところへいきました。
ルイは、酸素室で横になって息が苦しそうで…
でも私が手を握ったら少しホッとしたようで。
夫はずっと『ルイくん、頑張って!!!』と叫んでいましが、私の口から出てきた言葉は『ルイはいっぱい頑張ったんだよ。』でした。
家族そろって見守る中、ルイは静かに息をひきとりました。
夫は泣き叫び、娘達も大泣きで、私はなぜか泣けませんでした。
淡々と、ルイがどれだけ頑張ったか、これは誰のせいでもないんだと、ルイくんの寿命だったんだと、娘たちに、夫に、それから自分自身に言い聞かせるように、出来る限りの言葉だけが後から後からでてきました。
大切な存在と、もう2度とこの世で会うことが出来なくなるということ。
突然目の前に突きつけられた何をしようとも変わらないその事実は、重くて暗くてねっとりとして、どんなに私は大丈夫と思ってみても逃れられないものでした。
病院からお花が送られてきた時に、写真を見るたびに、その事実をまた鮮明に突きつけられて涙が溢れてきます。
それでも、数日たって、そして1人になって、やっと出てくるようになった私の涙に、私は少し安心したりもしました。
ADHD併発のASDである私は、感情を表に出すことが苦手です。
親戚のおじさんから、顔が能面みたいだと言われたこともあります。
だから今まで、こんな感情の時はこういう顔をする、とかこんな行動をとる、とか。
表現の仕方を周りの人を見ながら学んできました。
今はこれでもかなり上手くなってきたと思っています。
だけど、あまりにもショックなことがあると、全ての感情に蓋をして中に押し込めてしまうようです。
その入り混じった感情をどう扱えばいいのか分からないから。
そしてそういう時に動けるのは、全ての感情を押し込めてただただ体を動かしていないと、心が壊れてしまうから。
だから私はその時泣けなくて、時間が経ってから少しずつ心が整理出来てくるにしたがって、大きな哀しみだけを感じながら、泣けるようになったんだと思います。
いつも、そしてこれからも、ずっと一緒にいると信じてる大切な存在たち。
お別れはいつになるか分からないのに、それを自分でも分かってるはずなのに、なぜかそこはすぐに忘れてしまう。
もう2度とこんなお別れはごめんだと思っても、それは絶対に避けられないことで。
もしかしたら私自身が置いて行く立場になるかもしれなくて。
そして、世の中には、そんな経験をしながら、いつものように(少なくとも外からはそう見えるように)生活を送っている、もしくは送らないといけない人たちがたくさんいて。
人にはそれぞれの物語があるんだと、改めて肝に銘じました。
それから、今考えると、ルイが亡くなる前日、また少し元気がなかった日。
その日2回目の痙攣をおこしたルイを酸素室に入れながら、手を握っていた時。
ルイは私をじっと見つめてきました。今まで以上に静かにじっと。
その時私は、もう長くないかもしれないと、もしかしたら明日にはと、一瞬感じて、それを全力でかき消していました。
ルイくんは私に、さよならを伝えていたのかもしれません。
私の、家族の、これからの人生。
きっとまた色々とあるんだと思いますし、後悔もまた色々と増えてしまうんだと思います。
だけどそれ以上に小さな幸せを噛み締めながら、大事に過ごしていきたいと思いました。
自分の感覚を大事にして、知識を増やしながら、やりたいことをやりながら。
大切な存在を目一杯愛でながら。
ルイくんを心の中で愛でながら。
皆様と皆様の大切な存在が、これからも幸せな時間を過ごせますように。
しんどい時にお空の存在へメッセージを送れるLINEのオープンチャットがあります。
私がグリーフ専門士の勉強をした 日本グリーフ専門士協会 が管理しているものです。
いつもは拝見するだけにとどまっていた私も、今回は泣きながら誰にも言えない言葉を書き込みました。
もし必要な方がいらっしゃれば、ご活用ください。