HSP/HSCの特徴
HSPはHighly Sensitive Personの
HSCはHighly Sensitive Childの略で
非常に敏感な人、非常に敏感な子供
と訳されることが多いです。
HSPやHSCは
物事や人の言動などの
非HSP/非HSCからすると些細な事に対して
敏感に反応してすぐに動揺しやすく
ひとつひとつの物事に対して
常に深く考えるという代表的な特徴があります。
※ 以下文章から、HSCもHSPの中に含めて
『HSP』として表現していきます。
神経が高ぶりやすい
人がベストパフォーマンスを発揮する為には
適度な神経の高ぶりが必要だと言われています。
ですが
神経が高ぶりすぎて
周りから圧倒されてしまったり
混乱してぎこちなくなったりして
体のコントロールが効かなくなる程では
ベストパフォーマンスどころか
ただただ苦しいだけです。
微妙なニュアンスの違いにも敏感に気づくような
繊細な感覚を持つHSPは
周りから受け取った情報を
常に丁寧に深く処理している分
脳が活発に動き
日頃から神経が高ぶりやすく
すぐに動揺しやすい状態にあります。
即ち
周りからの情報という刺激で
たやすく圧倒されやすい状態で
日常を過ごしている事になります。
左脳に比べ右脳が活性化されている
ハーバード大学の心理学者
ジェローム・ケイガン博士による『敏感さ』についての研究では
『敏感さ』の特徴を持つ人間は
右脳の活動の方がより活発になっていて
血液が表面より中心へ集中する為に
生まれつき右側のおでこの方が冷たいことを発見しました。
ジェローム・ケイガン博士や
HSP研究の第一人者である
エレイン・アーロン博士の調査からも
『敏感さ』という特徴を持ったHSPは
非HSPとは遺伝的に
種類の違う人々という位置ずけのようです。
そして
微妙なニュアンスにも瞬時に気づくような
『敏感さ』を持つHSPは
物事を直感的(右脳的)に
半意識的又は無意識に処理する為
知らないうちに膨大な量の情報を処理していて
結果的に疲れてしまう
ということに繋がっていくようです。
他人との『境界』が脆い
HSPは相手の感情に
いとも簡単に共感することができるので
気づかないうちに
どっぷりと感情移入してしまう事も多くあります。
それを自分の事ではないと
客観的に受け止めて行動できるのなら
問題ないのですが
感情移入して他人事とは思えなくなってしまう為
必要以上に相手に関わってしまうこともあります。
人間関係を築いていく上では
他者と自分との境界をしっかりと保って
適切な距離を上手く取ることが
HSPにとっての
1つの大きな課題とも言えます。
D.O.E.S.(ダズ)
HSP研究の第一人者である
エレイン・アーロン博士は
HSPならほとんどが持つとされる敏感さの4つの側面を
以下のように説明しています。
D.O.E.Sとは、”高い敏感性の人がもつ4つの側面”のことで
- DはDepth of processing(=プロセスの処理が深い)
- Oはeasily Overstimulated(=刺激を強く受けやすい)
- EはEmotional responsiveness(=感情的な反応が強い)
- Sはempathy and sensitive to Subtle stimuli(=微妙な刺激に対する共感と敏感さを持っている)
を表しています。
この4つの側面は
HSPそれぞれの
今まで育ってきた環境や経験などに左右されず
共通して持つ特徴とされているので
HSPかどうかを判断する1つの指針となるかもしれません。
HSPの生きづらさの原因とは
HSPの存在は5人に1人
と言われているとは言え
全体から見れば少数派です。
それゆえに
大多数である非HSPに合うように作られた今の社会は
HSPにとっては合わない(刺激が多すぎる)ことも多いのです。
HSPはとにかくよく気づく
HSPは非HSPに比べて
感覚が繊細なので
細かい変化や相手の感情などの
ちょっとした事にすぐ気がつきます。
そして気がついた後も
そのことに対してああでもないこうでも無いと
ぐるぐると考えを深めていきがちなので
気づかないうちに
エネルギーが消耗されていきます。
結果的に
人がたくさんいる場所や
環境の変化など
色々気づきやすい状況に置かれるよりも
慣れ親しんだ場所で1人でいる方が
落ち着く場合が多くなってきます。
決して人が嫌いな訳でも
新しい場所が嫌な訳でも無いとしても
精神的にも身体的にもぐったりしてしまうので
必ず1人で静かに過ごせる時間が必要となってきます。
そこを考慮できない状況では
かなりの負担を受けるのです。
考えを深掘りし自分の非だと思いがち
無意識の内に
どんどんと考えを深めてしまうのは
HSPの代表的な特徴の1つではあるのですが
厄介な事に
ネガティブな方向へと考えが深まった場合
なぜかその原因は自分であると
結論づけてしまう傾向が強いようです。
そしてその後も
なぜなら…と
更にぐるぐると
過去の出来事も引っ張りだしながら
自分責めをしてしまう事も。
HSPの特徴が強く出るかどうかは
子供の頃の家庭環境も大きく関係するようで
常に神経を張り詰めないといけないような環境で育った場合は
自分を守る為の防衛反応の1つとして
より敏感に刺激に反応するようになり
HSPの特徴が強くでる傾向にあるようです。
非HSPと根本的に脳の使い方が違う
私自身もHSP(正確にはHSS型のHSP)なので
最近になるまで
HSPが敏感に気づく事柄自体が
非HSPにとっては『些細な事』
であることの意味がわかりませんでした。
私にとってその『些細な事』と言うのは
全くもって『些細』では無かったからです。
しかし考えてみると
納得するしないに関わらず
自意識過剰や気にしすぎという言葉だけで
片付けられてしまった事が多かったように思います。
ですがそういった事は
右脳が活性化されているHSPと非HSPでは
根本的に脳の使い方や
物事の考え方が違う為に起こる事であって
非HSPにとっては確かに『些細な事』であり
HSPにとっては確実に『些細な事では無い』んです。
生きづらさを減らす為に
HSPは生まれ持った気質であって
病気では無いので
”治す”ことはできません。
ですが
その気質の中の生きづらさに繋がる部分は
出来るだけ上手くコントロールできるといいですよね。
境界を築く
繊細な感覚で
他人の感情に共感できるので
他人と自分との境界が曖昧になりやすいHSPにとって
その境界をしっかりと築くことは
良好な対人関係を育む為にも
必要不可欠と言えます。
ですが残念なことに
これをしたらすぐに『確固たる境界を築くことができる!』
というような方法はまずありません。
境界を築き
自分の意思で必要のない情報や刺激を
自分の内側からシャットアウトする為には
日々の訓練が必要となってきます。
毎日の生活の中で
自分の周りにしっかりとした境界がある事を
意識した上で
自分にとって必要のない刺激(音や話し声など)を
意図的に自分の中に受け入れないようにしてみましょう。
はじめは上手くいかなくても
何度も繰り返し練習するうちに
境界の存在をしっかりと認識できるようになっていきます。
神経の高ぶりを最小限にする
他人のちょっとした感情の変化や周りの環境の変化を
敏感に感じ取って
ぐるぐると深掘りしてしまう為に
神経が高ぶりやすいHSPなので
そういった高ぶりを
出来るだけ抑えられると
エネルギーの消耗を抑えられ
良好な人間関係にも役立ちます。
内向型のHSPにとっては
初めて会う人に対して人見知りをしてしまう人も
多いかと思いますが
だからと言って
体を硬直させて押し黙っているだけでは
誤解されてしまいます。
そのような状況を予め想定して
どうな言葉を使って
どんな態度で接するか
事前にリハーサルしておくのもオススメです。
刺激に対して敏感に反応してしまう事自体は
無くならないかもしれませんが
その刺激に対する
自分なりの対応策を予め用意しておくと
同じ刺激に対して
少しづつ神経を高ぶらせる事なく
対応できるようになっていきます。
体の声を聞く
自分でも気づかないうちに
エネルギーを消耗してしまいがちなHSPにとって
自分の体の声に耳を傾けるのは
とても大切な事だと思います。
体の声といっても
「足が何かを話してるのが聞こえる…」
などと言うような事ではなくて
歩きすぎて足が疲れてるなと感じたら
ゆっくりと湯船に浸かって
足をマッサージするとか
一緒の友達がコーヒーを飲んでいて
美味しいからと勧めてきたとしても
胃の調子が悪くて
今はコーヒーの気分ではないなら
その事を告げて
自分が飲みたいと感じるものを飲むとか。
繊細な感覚を自分の体に向けてみて
その感覚に素直に従うという事です。
周りからの刺激は
内側に入れないようにシャットアウトする事位しか
できないとしても
自分の体の感覚に対してなら
色々と自分から行動してあげることができます。
できるだけ体の声に耳を傾けてその感覚に従うことで
必要のないエネルギーの消耗や余計なモヤモヤは
極力抑えていきましょう。
自分を責めない
他人に深く共感して
自分の事のように考えることができる優しいHSPは
他人ではなく自分を責めてしまう傾向があります。
周りから見れば
全く自分の責任ではなかったとしても
1人心の中で自分を責めて
負のループの中でぐるぐるして苦しい事もあったりします。
目の前の出来事を
ただ単に1つの出来事として捉える事で
自分の感情と出来事を関連付けず
切り離す練習をするのがいいかもしれません。
自分の心の内側を覗いてみて
なぜ自分はそう思うのか?
なぜ自分はそう感じるのか?
出来事と感情を別々にして客観的に考えてみましょう。
もしもいつも同じような出来事がきっかけで
負のループの常連になっているなら
そのループに入り込むキッカケとなっている感情に
気づけるとその対策も取りやすくなります。
本当はどうしたいのか、どうしたかったのかに気づくと
自分を責める負のループに
はまり込むことは少なくなっていくはずです。
まとめ
HSPは周りからの情報が
自分の感覚を過剰に刺激するアイテムとなりやすく
普段から疲れやすかったり
人付き合いが苦手だったりします。
ですが
共感能力が高く、繊細で優しいHSPは
自分のその生まれ持った気質を理解して
自分なりの対応策や自分にあった環境を
手に入れることができれば
不必要にエネルギーの消耗を増やすことなく
豊かな創造性から高い芸術的センスを発揮したり
物事をゆっくり深く多角的に考えたりすることもできる
とても素敵な能力です。
誰かの作った基準に無理に合わせようと頑張るよりも
自分らしく穏やかにいられるような
自分なりの方法を色々と試してみる事をおすすめします。
HSPも非HSPも
お互いがお互いの気質を理解して
認め合っていける優しい世界が広がるといいですよね。
参考図書
この記事を読んでいらっしゃる方
そしてこの「参考図書」まで丁寧に読んでくださってる方は特に
HSPやHSCに対する理解をもっと深めたいと思ってる方なんだと思います。
私もそうでしたが
ネットからの情報を沢山集めてみるという方法の他にも
沢山の方がHSPについて書かれているので
それを読んでみるのはとても参考になります。
特にご自分がHSPだった場合は
その内容にとてもとても共感することが多いのと同時に
安心感を得られると思います。
「あっ、私だけじゃ無いんだ」って。
もしも時間が許すなら
1人静かな時間の中で
その繊細な感覚を存分に使いながら
HSPの本を読まれるのもいいんじゃないでしょうか。
以下に私が購入した本の一部をご紹介しておきますね。
沢山の安心が生まれますように。
HSP研究の第一人者である
エイレン・N・アーロン博士が書いた本を訳したもの(文庫)です。
たくさんのセルフチェックと共に
理解を深めるための参考事例が載っています。
またHSPの特徴を上手くコントロールする為のアプローチの方法も
多数載っています。
宗教的であったりスピリチュアル的であったりする部分もありますが
そこに抵抗のない方なら
『HSP』に対しての理解を深めるのに参考になると思います。
↑2020/01/25時点では、楽天での取り扱いは無いようですm(_ _)m
HSPである著者の実際の体験を通して
どうHSPの理解を深めていったのか
4コマ漫画を通してHSPの状態をわかりやすく説明されています。
また、どうやって刺激から自分を守っているかの方法も
わかりやすく書いてあります。
他のHSPの方がどうやってHSPの存在を知って
どんな対策をしているのか知りたい方には
ぴったりなんじゃないかと思います。
対策方法はスピリチュアル的な考えに基づいたものも多くあるので
それが気にならない方には
すぐにでも日常生活に活かせるんじゃないかと思います。
いい面から見たHSP(敏感な人)の特徴や
HSPが抱えやすい心の問題について。
敏感な自分と上手く付き合う方法や
鈍感な人たち(非HSP)と付き合う為にどうしたら良いかという事が
丁寧に優しく事例を織り交ぜながら書いてあります。
全体的にふんわりとした優しく背中を押してくれる感じの文章が
スッと心に入ってきて私もやってみようと思うものがたくさんありました。